結論LEVI’S派なのか YUMA OISHI

ヴィンテージショップ[BerBerJin]静岡店のオーナーを務める大石遊馬。

一緒に食事をしていても、手元のiPhoneで情報をチェック。筋金入りのヴィンテージマニアといえる。

そんな彼の自宅の一室は、文字通り古着の宝庫。保管している量が(恐らくその価値も含め)尋常ではない。気をつけていないと、床から膝下くらいの高さまで二度折りで積み上げられたGジャン(かな?)のタワーにつまずいてしまうほどだ。

口数が少なく、喋りの間や取り巻く空気も独特すぎるが、一緒にいてなんか心地いい。そんな不思議な引力を持つ彼の<古着観>に迫るべく、コラムを依頼した。

結論LEVI’S派なのか

YUMA OISHI
今年2023年は世界初のブルージーンズ501が誕生して150周年です。世間の“VINTAGE LEVI’S熱”は未だ冷めやらず、最近では、世界最古の国際オークションハウス[サザビーズ]にて、LEVI'S 506XXE(通称TYPE-1 T-BACK)デニムジャケットが日本円で1,100万で落札されたことも記憶に新しいです。

時代はさかのぼり、20代の自分はleeを好んで履いていました。「マイノリティがカッコ良い」というあの当時ならではの感覚。30代になると、履いた時のケツのシルエットに惹かれ、leeよりもLEVI'Sを好んで履くように。

そんなこんなで時はたち、今ではVINTAGEのJEANSを履くのは年に数回程度…。もちろん今もJEANSは大好きですが、VINTAGE DENIMに関して多大な影響力を持つ「MR.LEVI’S」ことBerBerJin本店ディレクターの藤原裕氏が近くにいることもあり、古着の魅力を伝えるメッセンジャーとしての自分は、そんなにVINTAGE JEANSを履く必要はないのかなと。

だがしかし…。このコラムを書かせてもらうにあたり自宅のクローゼットを見渡してみると、LEVI'Sをこんなにも持ってることに驚きました。ローカルブランドを含めると、把握できないほど多くのブランドが存在するアメリカ古着の世界において、自分はネームバリューで選ぶことは滅多にないし、LEVI'Sに特別なこだわりがあるとも思っていなかったからです。

知り合いの人たちも、僕にLEVI'Sのイメージはないと思いますが、この機会にクローゼットで再会した私物のLEVI'Sを4つ紹介させてもらいます。
LEVI'S 213 DENIM JACKET
アメリカが第二次世界大戦に参戦した1941年頃の1着。No2(廉価版)デニムを使用。ボタンが通常のものと違って黒ラッカーのドーナツボタン。なんといってもNo2デニムの独特な色がすごく気に入っています。
DEADSTOCK LEVI'S 506XXB DENIM JACKET
1940年代のデッドストック。キッズのTYPE-1で、これは完全コレクションで持っています。
キッズのTYPE-1は出てきても、シンチバック部分がスライドバックルのことが多いので針刺しのバックルなのが重要ポイント。
90's LEVI'S 517 STRETCH DENIM
グアテマラ製(USA製かどうかのこだわりは自分はないです)。ストレッチジーンズの独特なダメージの仕方が気に入っています。自分ではなかなかここまで履きこめないので。
90's LEVI'S DOCKERS PANTS
1980's後半から作られているLEVI'Sの少し大人向けのカジュアルライン。とにかくいろいろな生地のパンツが出てきて面白いです。
僕は、20年以上古着を買い続けてきましたが、アメリカ古着を買う理由は、純粋にアメリカへの憧れ。アメリカで販売されていたアイテムに魅力やロマンを感じてしまいます。ビンテージ古着にはオーラや美しさがあるし、レギュラー古着には、ビンテージにはない種類の多さ、幅広さがあります。長いことこの世界にいますが、いまだに知らないことがたくさん。だからこそ奥が深くて今も魅了される。

もちろん古着を買う理由は十人十色です。自分なりの古着の楽しさを見つけてもらえたらなと思います。普段そこまで古着屋に足を運ばない方も、ぜひぷらっと立ち寄ってみて下さい。

そういえば自分が初めてビンテージといえるJEANSを買ったのは、たしか高校3年のとき。ドキドキしながら高円寺でゲットした70'sの517(ポケット裏シングル)だったかな。当時は「501」も「517」も理解してなかったので、買ったのが「501」ではなくブーツカットのものだと気づいたのは、購入してから数ヶ月後のことでした(笑)
PROFILE
大石遊馬 | Yuma Oishi
BerBerJin静岡
owner