2022年秋公開の映画 『ミューズは溺れない』 は、第15回田辺・弁慶映画祭、第22回TAMA NEW WAVE コンペティションの双方でグランプリを受賞し、計6冠を達成するなど注目を集めている。
主演を務めたのは23歳の女優、上原実矩。
3年前、12日間にわたる撮影期間は「死闘」だったという。
創作活動や人間関係に葛藤しながらも前に進もうとする高校生を体当たりで演じるなかで、上原自身も徹底的に自己問答を繰り返した。そんな彼女の“生きた模索”が感じられる作品をコラージュに昇華。さらに上原からも「撮影時と今」というテーマでコメントをいただいた。
彼女の飾らない言葉が独特な重みを持つのは、現在進行形で成長し、成熟し、そして老いていく私たちの心が共通項を見出すからではないだろうか。
時間が経つと頭からこぼれ落ちていってしまうものが無数にある。
メモをスクロールしていると、
その頃に書き起こしていた気持ちや
もらった言葉のメモを見つけた。
「模索しているみくちゃんも、私からしてみたらとっても魅力的です。これからも器用にならず、荒ぶる魂のみくちゃんでいてください。」
もうひとつ、これは作品に入る前の8月15日。
「自分が今までの作品で後悔してきたこと、
その気持ちを全部ぶつけたい。」
なくしていたものをみつけたような、
そんな気持ちになった。
あの撮影から三年経って、その間いろんなところをぐるぐるとして、
ここからがまた、スタートラインだと思う。
そうインタビューで呟くと、
まだまだやってくるぞ、と 大人たちから脅された。
えー、なにがよ!
まだあるの!うげげー…
まあ、大体占いにも波瀾万丈って出るからなあ。
なんて、ぶつぶつ。
と同時に、わくわくする自分がいる。
目の前のこと、
できることからひとつひとつ、
できないこともひとつひとつ、
変わったところと、変わらないところと、
わちゃわちゃと戯れながら、
時には、えいっと飛び込んでみたり。
どうせなら今のうちに骨折しまくったり。
まだまだ足りないところと、やりたいことが多すぎる。
これからも雨にも風に吹かれながら
大地にめりめりと根を張って生きてやろう、と思う、
二十三歳の現在地。
上原実矩
『ミューズは溺れない』
監督・脚本・編集 : 淺雄望
出演 : 上原実矩、若杉凩、森田想ほか
企画・制作・プロデュース : カブフィルム
配給宣伝 : ムービー・アクト・プロジェクト
配給協力 : ミカタ・エンタテインメント
2021年
9/30(金)〜10/6(木)テアトル新宿、
10/14(金)・10/15(土)シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開
PROFILE
上原実矩 | Miku Uehara
1998年11月4日生まれ、俳優・モデル。
映画『君に届け』(10/熊澤尚人)で俳優としてスクリーンデビュー。
その後も『暗殺教室』(15/羽住英一郎)、
『来る』(18/中島哲也監督)や『青葉家のテーブル』(21/松本壮史監督)、『余命10年』(22/藤井道人監督)、『流浪の月』(22/李相日監督)、『ぜんぶ、ぼくのせい』(22/松本優作監督)など多数の映画やドラマに出演。
主演を務めた『ミューズは溺れない』(21/淺雄望監督)で、第22回TAMA NEW WAVEコンペティションでベスト女優賞を受賞。同作は各地の若手の登竜門と言われる映画祭で作品賞など多数受賞し、俳優として着実に注目をあつめる。独特な個性から大手企業広告にも多数出演し、多岐にわたり活躍中。