ERIC HAZE × TAKU OBATA

5月12日11時52分。

「今日13:00くらいにHAZEがスタジオ来るよ」

友人の小畑 多丘からの連絡だ。

PARCOとビーズインターナショナルが[PARCO MUSEUM TOKYO]で開催するERIC HAZE 30th ANNIVERSARY EXHIBITION『RE·HAZE』のなかで、HAZEと多丘のコラボレーション作品が展示されるというのだ。

「今日、俺の作品にHAZEがペイントするからおいでよ!」

自分の家から彼のアトリエまでは、ぶっ飛ばして向かっても1時間半弱かかる。しかし考える暇はない。カメラをバッグに突っ込み、とりあえず家を飛び出した。

アトリエに着くと、既にHAZEが作品にペイントをし始めていた。描き始めに間に合わなかった…。それでも、彼が最後まで作品に向かい描き続ける時間は素晴らしかった。

明るい時間から始まったペイント作業。次第に陽も落ち、スタジオのライトが作品を照らし、引き立てていく。そして彼が作品を描き終えた頃には、時計は19時を回っていた。

タフな作業のなかでも、時々リラックスした表情を見せ、作品完成後には笑いながら抱き合う2人。最後は談笑しながら、多丘の物体作品にもペイントをほどこす。作品を通して関係が一段と深まっていく姿が羨ましくもあり、素敵な光景だった。

長丁場のなか、素晴らしい作品を仕上げたHAZEは「またOPENING PARTYで!」と言い残し、スタジオをあとにした。

そこからは、スタジオで観られる最後の景色ということで、作品単体を撮影。「連絡が急過ぎるよ!」とこぼしながらも、濃厚で楽しい時間を過ごせたことに感謝を告げ、ジェットコースターのような1日を終えた。

ここから並ぶ写真で是非感じ取ってほしい。
会場には、今回の作品はもちろん、これまでの創作活動での、グラフィティ / ファッション / グラフィックデザインを振り返る展示が並びます。さらに新たにペイントされたイームズのシェルチェアの展示や、YAMAHAのバイクや新作の具象·抽象画なども披露されるなど、盛りだくさん。

ただ今開催中のERIC HAZE 30th ANNIVERSARY EXHIBITION『RE·HAZE』に是非皆さん足を運んでみては。


・HAZE × TAKU OBATA
作品名:B-BOY FRP (2024)
HAZEが直接ペイントすることを前提に製作されたFRPの作品。もともとは小さな木彫が原型で、その3Dデータから作製した磁器のエディション作品に、個展で来日していたHAZEがペイントしたことがきっかけに。大きなバージョンが正式なコラボレーションになったら面白いのでは、という発想で生まれた作品。



ERIC HAZE 30th ANNIVERSARY EXHIBITION
『RE·HAZE』


イベント期間:2024年5月18日(土)〜6月3日(月)
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
営業時間:11:00〜21:00 ※入場は閉場時間の30分前まで ※最終日は18:00閉場
入場料:600円(税込)※特製ブックレット、ステッカー付。無くなり次第終了※小学生以下無料※株主優待を含む各種割引は対象外
共催・企画制作:株式会社パルコ、株式会社ビーズインターナショナル
監修・画像提供:ERIC HAZE STUDIO
協賛:ヤマハ発動機株式会社、カシオ計算機株式会社
協力:Archive & Style、BOUNTY HUNTER、’47、H×S、 HUF、KANTAKAGI、MEDICOM TOY、Mid-Century MODERN、NEIGHBORHOOD、POGGY、sacai、セガ、TAKU OBATA、TGB Design、TRIPSTER、uniform experiment、WTAPS、XLARGE、X-girl
PROFILE
ERIC HAZE
ニューヨークで生まれ育ったエリック·ヘイズは、40年以上にわたってグラフィティ、コンテンポラリーアート、グラフ ィックデザインの世界で影響力を発揮してきた。
ヘイズの10代は、仲間のフューチュラ、リー、ドンディとともに、影響力のあるニューヨークのグラフィティ集団「ザ·ソウル·アーティスツ」の創設メンバーとして過ごした。1974年、エリックは幼い頃から彼らのメンバーとともに作品を発表し、1980年代初頭にはキース·ヘリングやジャン·ミシェル·バスキアといった親しい友人たちとともにペインティングやドローイングを発表した。
アート·ギャラリーからグラフィック·アートへと活動の場を移したヘイズは、やがて爆発的なヒップホップ·ムーブメントの第一人者グラフィック·デザイナーとして頭角を現した。その後10年間、ヘイズは ビースティ·ボーイズ、トミー·ボーイ、LL·クール·J、EPMD、MTVなどの アイコニックなロゴ、アルバム·カバーを手がけた。
1991年、エリックは自身の名を冠した洋服とアクセサリーのブランド、HAZEを設立。このブランドは、ナイキ、カシオ、ハイネケン、ホンダ、リーバイスといった業界のリーダーたちとのコラボレーションを成功させ、今日に至るまで世界的な影響力を持ち続けている。今年の1月に行われたメジャースポーツの祭典「スーパーボウル」をサポートするために、ラスベガスのネバダ州にある全面天球型のLEDスクリーン「スフィア」に最新のモーショングラフィックスが映し出された。
新世紀に入り、ヘイズは絵画とドローイングに本格的に復帰した。ウィリアムズバーグのスタジオで作業しているヘイズは、アート史の重要な動向を作品に反映している。新作には抽象的なモチーフや交差する線が描かれ、普遍的なテーマや動きへの情熱をもっている。
過去10年にわたり、ニューヨーク、ロサンゼルス、香港、パリ、東京で個展を開催し、そのたびに批評的な成功を収め、彼のユニークなスタイルが国際的に知られるようになった。2011年にはMoCAロサンゼルスで開催された「Art In The Streets」に出展、2016年にはアート界のレジェンド、ジェフリー·ダイチがキュレーションした「Coney Art Walls」にも作品が展示された。2018年5月に開催された「Beyond The Streets」では、最新のペインティング·インスタレーションが批評家の大きな称賛と共に成功を収めた。2023年にはジェフリー·ディッチギャラリーでカーロ·マコーミックがキュレーションした「Wild Style 40」展でも展示された。そして、フューチュラ2000やケニー·シャーフと共に最新のインスタレーションが展示される「Beyond the Streets Post Graffiti」が、2024年5月11日からNYのサウサンプトン·アート・センターで開催されている。
エリック·ヘイズは現在、ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動し、妻で俳優のロージー·ペレスと2匹の保護猫と暮らしている。
小畑多丘 | Taku Obata
彫刻家
1980年埼玉県生まれ。2006年東京藝術大学美術学部彫刻学科卒業。 08年同大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。「B-BOY(ブレイクダンサー)」の木彫による 人体と衣服の関係性や、B-BOYと彫刻を端緒に生まれる空間、動き、 重力を追求、彫刻以外のメディアでも精力的に表現し続けている。
Direction & Photo : Yusuke Oishi